本研究会では、神経難病に対する薬剤治療・非薬物療法をふくめた緩和医療について、各施設の症例経験を共有し、神経難病の緩和医療の具体的な手法について検討していくことを目的とする。緩和医療に関する治療・看護のみならず介護・医療経済などさまざまな分野の問題点を検討する。
1)オピオイド・モルヒネ等の使用経験の共有
神経難病は治療法が乏しく、最終的には嚥下や呼吸機能が障害され、癌と同様に非常な苦痛を強いられる疾患が少なくない。
しかし、現在 呼吸障害や疼痛に対しオピオイド・モルヒネ等の使用の報告があるのは、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルトヤコブ病などに限られており、しかも症例報告は少ないため多くの医療スタッフは独学で使用を開始している。
オピオイド・モルヒネ等の使用は、倫理面・安全性を含めた問題が大きいため、独自で経験を積むより経験を共有していくことが重要と思われる。
2)緩和医療の対象疾患の検討
多系統萎縮症や多発性硬化症などでも、呼吸障害や嚥下障害を伴い、自由意志で動けない状態で長期にわたる闘病生活を強いられる点でALSやクロイツフェルトヤコブ病と同様の過酷な闘病を強いられるケースも多く、緩和医療の対象疾患の拡大の検討を必要である。
3)非薬物療法の検討
音楽療法、リハビリテーション、栄養管理や食の楽しみなど非薬物療法による緩和医療についても報告は少ない。
4)経済問題の検討
緩和医療に関する経済的側面の研究が少ない。
1)症例報告
神経難病の緩和医療に関する問題を当院および院外幹事先生の施設の症例をもちより検討。
この際、一定の要素を網羅した発表とし、データを蓄積する。可能な限り引用可能な雑誌に投稿し、経験を広く共有することにつとめる。
(例)
(病名
(罹病期間
(緩和医療の内容、使用目的、方法、結果、反省点
オピオイド・モルヒネの使用
音楽療法
栄養学的介入
経済問題への介入
(緩和医療に関する、スタッフ、患者家族の受け止め
2)教育講演
(院外講師:当面は後述の院外幹事や顧問の先生、その他 緩和医療のエキスパート
(院内講師:各委員またはその推薦者に依頼
3)学会発表と投稿
研究会での検討内容を他施設共同で発表していく。